研究概要 |
アセチレン-水素予混合火炎中にジシラザンを送入し,モリブデン基板上にSiC薄膜合成を試みた。FTIR分析によりSi-O結合が確認されたが,Si-O結合がかなりの割合を占めていた。今年度はSi-Cが出来たことを確認するにとどまったが,予混合火炎中に,必ず存在する酸素を燃焼反応の方へ消費させることによりSi-O結合を抑制する工夫が必要である。これは,原料ガス組成,基板の温度・形状あるいは挿入位置を適正にすることにより達成できると考えている。また,基板を火炎中から取り出す際に空気中の酸素によって酸化されてしまうことも考えられる。これを防ぐために,火炎の周囲を窒素雰囲気とすることも検討中である。 原料ガスを変えることも検討すべきであると考え,今年度はアセチレンをプロパンに変えた実験的検討も行った。プロパン-水素予混合火炎中にジシラザンを送入し同様の実験を行ったところ,Si-C結合を顕著に示す生成物を得た。SiCの存在割合は基板上の付着場所によって大きく異なっており,今後,Si-C結合の割合を増していくための有用な指針が得られつつある。
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