当初、吸着測定装置の適用物質を拡大するため水素炎イオン化検出器の導入を検討したが、一部技術的問題が未解決のため今回は導入を断念し、既存の紫外分光光度計を検出器として使用して実験を行った。 吸着平衡関係の推算に関しては、実験データをもとにDubinin-Astakhov式のパラメーター中に圧力依存性を導入し、検討を行った。最初に購入したBET比表面積測定装置により、BPL活性炭の細孔容積と比表面積を測定した上で、吸着平衡関係を良好に相関できることを見い出した。またその結果よりそれまでの測定圧力領域より低圧力域に最大吸着量が存在することが推定されたため、より低圧力域での吸着量測定を行った。その結果、0.99MPaと0.49MPaにおける平衡吸着量が同程度の吸着量であることが判明し、最大吸着量はこれらの間に存在するものと判明した。しかしながら推算結果は十分とはいえず、現在はPrausnitzらの気液平衡の溶液論を吸着平衡関係に近似した推算法を検討中である。 吸着層内物質移動機構の検討に関しては吸着層内の物質移動機構及び速度の解析をすでに提案した物質移動モデルを用いて相関した結果、種々の測定条件下より得られた破過曲線を良好に相関することがのできた。購入したBET比表面積測定装置により、BPL活性炭の細孔構造を測定したところ、ミクロ孔の構造を有していることが判明したため、この結果より本研究での物質移動モデルの正当性を確認する事ができた。また得られた表面拡散係数の値は低圧力にとおける文献値と同程度であり、このことからも本研究のデータの精度とモデルの正当性を確認した。
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