研究概要 |
超臨界二酸化炭素存在下における2種類の吸着剤(BPL活性炭、高表面積活性炭)に対するベンゼン、トルエン,アセトンの平衡吸着量の測定を温度313K,圧力1〜12MPaの範囲で行った。さらに純二酸化炭素および溶質であるベンゼン,トルエン,アセトンの純成分平衡吸着量の測定を行った。 吸着平衡関係は以下の通りであった。温度一定の条件下では平衡吸着量は純溶質の平衡吸着量を最大値として溶質や吸着剤の種類にかかわらず実験圧力の上昇により減少していくことがわかった。同一吸着剤における3種類の溶質の平衡吸着量を比較するとベンゼンとトルエンではほぼ同程度の吸着量を示したが、分子構造,極性の大きく異なるアセトンでは他の2つの溶質に比べ吸着量が小さくなった。また、高表面積活性炭はBPL活性炭に比べ大きな吸着量を示したが、圧力に対する傾向としてはBPL活性炭とほぼ同様な挙動を示した。これらの原因は溶媒である二酸化炭素の溶解力や二酸化炭素の競争吸着に平衡吸着量が複雑に依存しているためであると推定される。 以上の結果を基に超臨界流体存在下における溶質の平衡吸着量の推算法の検討を行った。推算にはPrausnitzらが提案した理想吸着溶液モデルを高圧下へ適用したところ、推算値は実験値をほぼ良好に表ることができた。高圧下における溶質の平衡吸着量は各純成分の平衡吸着量を用いることにより、ほぼ良好な精度で推算できる手法が確立できた。 吸着層内物質移動機構の検討では、吸着層内における物質移動の機構および速度の解析を既に提案した物質移動モデルを用いて行った結果、種々の測定条件下により得られた破過曲線を良好に相関することができた。また得られた表面拡散係数の値は低圧力における文献値と同程度であり、このことからも本研究のデータの精度とモデルの正当性を確認することができた。
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