(1)本研究の遂行のため、まずRubicCO活性および機能特性をラジオアイソトープを用いることなく測定する方法を開発した。イオンクロマトグラフィーを用い、未反応の基質RuBPをヒドラジンと反応させてその溶出を遅らせることにより、反応生産物を定量することによりRubisCOの活性およびspecificity facterを同時かつ容易に測定することが可能となった。 (2)大腸菌を宿主とした遺伝学的手法により、P.hydrogenothermophilaのCbbQがpost-translationalにRubisCOを活性化していることを確認した。大腸菌にcbbLS遺伝子のみを導入した場合よりも、cbbLS遺伝子およびcbbQ遺伝子を同時に導入した場合の方が、2〜3倍高いRubisCO活性が検出された。一方、Western Blottingの結果からは両者におけるRubisCO蛋白量に差はなかった。PAGEの結果、cbbQが存在しない場合のRubisCOのバンドはsmearであり、P.hydrogenothermophilaから精製されたRubisCO、またはcbbQ存在下大腸菌で発現したRubisCOとは、異なった構造をしていると考えられた。 (3)P.hydrogenothermophilaのcbbLSQ遺伝子の下流に新たなORFの存在を確認した。cbbLSQ遺伝子の下流のシーケンスを続けた結果、cbbQのすぐ下流に新たなORFが存在することを確認した。データ検索からはcbbOと命名したこの遺伝子とアミノ酸配列で相同性を有する遺伝子は報告されていない。 位置的に考えてCbbOがCbbQと同様な働きをしている、または協調して働いている可能性が高いので、現在遺伝学的手法および精製蛋白質を用いた系により、CbbQおよびCbbOの機能を追究している。
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