研究課題/領域番号 |
07455332
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高田 九二雄 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50005930)
|
研究分担者 |
石黒 三岐雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005991)
奥 正興 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (90005968)
|
キーワード | 鉄鋼 / 微量炭素 / 管状炉燃焼-赤外線吸収法 / 空気巻き込み防止窒素チャンバー / 試料表面吸着炭素の吸脱着 |
研究概要 |
(A)高純度鉄及び鋼中の微量炭素を定量する場合、試料表面に吸着炭素が存在するため定量値はそれを含めた値となり、試料中の実際の含有率より高値を出すことになる。このため、試料表面吸着炭素を除去する方法やその量を測定する方法が研究されている。管状電気炉燃焼-赤外線吸収法は試料中の炭素と表面吸着炭素を別個のシグナルとして分離測定できる装置である。しかし、この装置は構造的に試料を管状炉に装填する時に空気を少量巻き込む特性がある。この巻き込みによって生じるバックグラウンドシグナルは試料表面吸着炭素からのシグナルと多くの部分で重なるため表面吸着炭素量を正確に評価することは難しい。従って、これを改良するため空気巻き込みを防止する窒素雰囲気チャンバーを作製した。そして、表面吸着炭素量の正確な評価、及び吸着炭素の除去法や抑制法の評価をおこなった。 (B)窒素雰囲気チャンバーを用いることでバックグラウンドシグナルが従来の半分程度になったが無くならなかった。残ったバックグラウンドシグナルは管状炉に試料を装填する時に容器として用いる磁器ボ-ト中に含まれる炭素分からのものであることが判明した。従って、磁器ボ-トを酸素雰囲気中で強熱後窒素雰囲気チャンバー中で放冷することでバックグラウンドシグナルを消滅させることが出来た。 これにより次のような実験を行うことが出来た。(1)鉄の表面吸着炭素量の精度の良い定量値を得ることが出来た。(2)鉄を湿度の高い二酸化炭素雰囲気に放置することでその表面に吸着する炭素分が時間とともに増加する様子をシグナルとして捉えることができた。(3)鉄表面吸着炭素シグナルは鉄を空気中で450℃10分加熱することで消失したが、試料中の炭素定量値は加熱しない場合の試料表面吸着炭素量を除いた定量値と一致した。つまり、加熱による試料中の炭素の拡散による損失も、試料表面吸着炭素が試料内部に侵入することも無いと考えることができた。
|