研究概要 |
従来の200W以下の低出力のマイクロ波誘導プラズマ(以下「MIP」と略記)発光分光分析では,プラズマへの分析試料の導入の点で試料エアロゾルの連続的・定常的な送入が全く不可能である.そこで,200W以上で,試料エアロゾルを連続的に導入することのできる新しいタイプの高出力MIPを開発し,多元素逐次方式の高感度発光分光分析システムを構築することを目的とする. 平成9年度は本研究の最終年度であるので,本研究を完了すべく研究代表者と研究分担者が一致団結して研究を進めた.以下に示すようないくつかの成果を挙げることができた. 1)最大1.5kWの高出力MIPは,ICP(誘導結合高周波プラズマ)と同様にド-ナツ構造を有するプラズマで,ヘリウム,アルゴン,窒素,酸素さらには空気までもプラズマガスとして用いることができるので,各種プラズマによるプラズマ特性を比較・検討することができた. 2)高出力のMIPプラズマであるために,通常の石英製キャピラリート-チのほかに,三重管または二重管構造を有するプラズマト-チを種々試作し,比較・検討した. 3)試料導入法として,超音波ネブライザーやガラスフリットネブライザー,さらにグラファイト炉や金属フィラメントなどを用いる超高感度分析の実現した. 4)水素化物発生法などの気体状態での試料導入方法を検討し,より高感度化を目指し,その目的を達成するとともに,本法を幾つかの実験試料(鉄鋼,銅地金,ヒジキなど)への適用に成功した. 5)本分析システムを用いて,あらゆる元素の感度(検出限界)を調べ,各種の実際試料の分析に適用し,本研究で開発した高出力MIPプラズマ発光分光分析システムの有用性や将来への展望などを論じ,本研究を総括した.
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