研究概要 |
本研究では、正スピネル構造有するリチウム複合酸化物LiV_2O_4あるいはLiM_yMn_<2-y>O_4(M=Cr,Co,Ni)のリチウム二次電池特性について研究を行なった。 まず、LiV_2O_4は二酸化炭素と水素の混合気体中で、650℃から950℃の温度で合成を行なった。このLiV_2O_4へのリチウムのインターカレーションでは、非常に平坦な電位が2.45V付近に現われた。この電位の平坦部では、もとの立方晶のLiV_2O_4と、新たにリチウムのインターカレーションにより生じた立方晶のLiV_2O_4が共存する。このインターカレーションに伴い格子定数は1.8%程度増加するだけであり、その変化率は非常に小さい。従って、リチウムのインターカレーション・デインターカレーションに伴う、結晶構造の変化は小さく、800回目のサイクルにおいても初期容量の70%程度の容量を維持しており、安定したサイクル特性を示す。 一方、LiM_yMn_<2-y>O_4(M=Cr,Co,Ni)の充放電曲線については遷移金属の置換量が増加するに、従い充放電容量は減少することがわかった。これは、3価あるいは2価の遷移金属で置換することにより、Mnの平均酸化数が増加し、リチウムのデインターカレートする量が減少するためであると考えられる。一方、LiM_<1/6>Mn_<11/6>O_4(M=Cr,Co,Ni)のリチウムのインターカレーション・デインターカレーションに伴う格子体積の変化を概算するとM=Mn:7.5%,Cr:5.4%,Co:6.0%,Ni:4.4%となる。従って、他の遷移金属で置換することにより格子定数の変化が抑制される。また、遷移金属の置換量が増加するに従い、格子定数の変化量は減少した。 このように、Mnを他の遷移金属で置換したスピネル型酸化物の方が良好なサイクル特性を示した。充放電容量とサイクル特性の両者を考慮すると、LiCr_<1/6>Mn_<11/6>O_4あるいはLiCo_<1/6>Mn_<11/6>O_4がスピネル型酸化物正極では、優れた特性を示した。
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