研究課題/領域番号 |
07455336
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
脇原 將孝 東京工業大学, 工学部, 教授 (20016596)
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研究分担者 |
生田 博将 東京工業大学, 工学部, 助手 (80242270)
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キーワード | リチウム二次電池 / リチウムマンガンスピネル / 低膨張相転移 / 結晶構造制御 / 充放電サイクル特性 / 拡散係数 |
研究概要 |
正極にコバルト酸リチウムを使用したリチウム二次電池が市販されているが、コバルトは資源が極めて少なく、早急に代替物質を開発する必要に迫られている。そこで、本研究の目的は資源的に充分供給が可能であり、かつ安価であるマンガンを中心にニッケル、バナジウムなどに注目し、構造の安定性が補償されている各種低膨張リチウム含有スピネル系酸化物を合成し、これらを正極活物質に、また負極に申請者等がすでに充分に性能評価した黒鉛化度の高い炭素繊維(2800℃焼成)を用いたLi_xC_6|1MLiClO_4inEC-DEC|Li_xM_2O_4(但し、MはMn、Ni、V等の単一あるいは固溶系)二次電池を組み、現在最も解決が必要とされる正極活物質を見出すことにあった。 LiMn_2O_4およびLiM_yMn_<2-y>O_4(M=Cr、Co、Ni)にあらたに酸素欠陥が存在することが明らかになったので、今年度は以下のような実験計画を立てた。 (1)構成元素となる各種の炭酸塩、酸化物を所定の比に混合し、反応温度600-750℃の一定温度でN_2-O_2およびN_<2->1%O_2/N_2の混合比を変化させることより酸素分圧を1気圧から10^<-5>気圧の範囲で制御し様々な不定比組成を有するスピネル酸化物を合成する。 (2)リチウム二次電池正極特性の評価は研究室所有のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行い、データーは全て研究室自作のプログラムによりコンピューターに取り込み処理する。 (3)リチウム挿入・脱離に伴う開回路電圧をデジタルマルチメーターを介して測定し、緩和法によりリチウムイオンの化学拡散係数を算出する。 (4)X線回折データからリウチム挿入・脱離に伴う格子定数を正確に算出し、酸素欠陥がどの程度格子の膨張・収縮に寄与し、充放電サイクルの改善につながるかを詳細に検討する。 その結果、Mnの一部を他の遷移金属で置換することによりスピネル中の八面体サイトが構造的に安定化し、300サイクル以上の耐久性を示し、250サイクルでも100mAh/gの高容量となった。また容量低下も250サイクルで初期の90%を保ち、実用化に耐える活物質となり得ることが明らかになった。
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