研究概要 |
1.Li_3NとM_xN_y(M=Mn,Fe)またはLi_3NとCo、Ni,Cu金属を1%H_2-N_2気流中、あるいはN_2中で反応させることにより、逆ホタル石型のLi_7MnN_4、Li_3FeN_2、またはLi_3N構造のLi_<3-x>M_xN(M=Co,Ni,Cu)が容易に得られた。これらの構造は、高イオン導電体として知られているもので、Liがスムースに移動し、遷移金属を含むことから、電場中でLiの挿入脱離が簡単に起こることが期待される。我々は、Liを陰極としたリチウム電池の充放電試験を行った。 2.まずLiと逆ホタル石型のLi_7MnN_4、Li_3FeN_2を組み合わせた電池の特性を検討した。Li/Li_7MnN_4もLi/Li_3FeN_2も1.2Vあたりの電位でいいサイクル特性を示す。Li_<7-x>MnN_4としてx=1.25までLiの脱離が可能で、逆蛍石構造を保ったまま、可逆的に変化する。Li_3FeN_2も同じである。 3.Li_<3-x>M_xNとしてCo,Ni,CuがそれぞれX=0.4,0.6,0.3までLi_3Nに固溶する。Li/Li_<3-x>M_xN(M=Co,Ni,Cu)の電池を組んで充放電特性を調べた。いずれも優れたサイクル特性を示した。どの系も1V以下の電位を示し、特にLi/Li_<2.6>Co_<0.4>Nの電池は1.4V-0Vカットで500mAh/gの容量を示す。ここで特徴的なのは、第1回目の充電曲線と二回目のそれとが大きく異なる点である。XRDの測定によると、Li_7MnN_4やLi_3FeN_2の場合と異なり、充放電につれ、構造が崩れ非晶質となる。この非晶質物質は、電解質との反応により生じたと考えられ、高い容量もそのことによっていると思われる。 いずれにせよ、Liに対して1V以下の電位を示し、Li電池のる陰極として有用であろう。
|