研究課題/領域番号 |
07455339
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西本 清一 京都大学, 工学研究科, 教授 (10115909)
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研究分担者 |
大谷 文章 京都大学, 工学研究科, 助手 (80176924)
北川 敏一 京都大学, 工学研究科, 講師 (20183791)
藤田 慎一 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助教授 (60100210)
竹内 賢一 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026358)
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キーワード | 放射線活性化プロドラッグ / 放射線還元 / 5-フルオロウラシル / N(1)-C(5)結合二量体 / 電解合成 / 2-オキソ化合物 / π^*-σ^*軌道重なり / パルスラジオリシス |
研究概要 |
5-フルオロウラシル(5FU)水溶液の電解酸化反応によって合成したN(1)-C(5)結合5FU二量体(1)の放射線還元反応に及ぼす還元剤(芳香族アミンまたは低原子価遷移金属イオン)の添加効果を調べ、5FU遊離に至る活性化機構を明らかにした。還元剤を添加しない場合、1の放射線還元により、5FUを遊離するとともに、2量体からフルオロヒドリンが脱離した1-(ウンシル-5′-イル)-5-フルオロウラシル(脱OHF体)が生成することを見いだした。この場合、両生成物の生成比は約1:2であったが、還元剤共存系では還元剤の酸化電位の減少とともに5FUの選択率が減少し、脱OHF体の選択率は逆に増大した。この結果から、1のラジカルアニオン中間体からF-の脱離が優先的に起こり、酸化性の5-イルラシカルが生成した後、加水分解を経て5FUが遊離する活性化機構が明らかになった。 1のX線結晶構造解析結果によればα位のカルボニル基とC-N結合とはほぼ直交しているにもかかわらず、分子内電子移動が不利なC-F結合からのF-脱離がほぼ選択的に進行することから、5FU^-に比べてF^-の脱離能が著しく高いことが明らかになった。そこで、F基をCH_3基で置換した構造をもつチミンと5-フルオロウラシルのN(1)-C(5)結合二量体(2)を電解合成し、この化合物が放射線還元によって高収率(60%)で5FUを遊離することを確認した。 上記の知見に基づき、5FUを1位置換基としてもつ2-オキソ化合物の合成を試み、新しい放射線活性化プロドラッグとしての可能性について検討するとともに、これらの化合物における5FUの脱離反応機構について考察した。この結果、4-置換シクロヘキサノン構造をもつ5FU遊離性2-オキソ化合物の場合、シス形とトランス形でカルボニル基における反結合性π^*軌道とC-N結合のσ^*軌道との重なりが大きく異なり、5FUの脱離反応性に顕著な影響を及ぼすことが明らかになった。
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