研究概要 |
1.ドナー型層間化合物の生成に対するホストのクライテリア ナトリウムのテトラヒドロフラン(THF)溶液中でのドナー型層間化合物であるNa-THF-黒鉛層間化合物の生成(室温)に対するホストの結晶構造のクライテリアを検討した. 高い結晶性を持つホストは明確なステージ1構造を持つ層間化合物を生成する。その生成反応はきわめて遅く,c軸方向の周期が異なる2種の構造が生成した。X線回折線の半価幅から評価した層間化合物の結晶性は,ホスト炭素材料の結晶性と密接に関連することを明らかにした。これに対して,低結晶性ホストを用いた場合には層間化合物の生成反応はきわめて速いが,そのX線回折図は1本の回折線しか与えず,ステージ構造が確定できなかった.下記の硫酸のインターカレーション反応とは異なって,Na-THF-黒鉛層間化合物の場合は,c軸方向の結晶子の厚みLc(002)と黒鉛化度P1の関係図の上で明確なクライテリアを明確に規定できなかった. アクセピタ-型層間化合物の生成反応に対するホストのクライテリア アクセプター型層間化合物として硫酸-黒鉛層間化合物を選び,その生成反応に対するホストの結晶構造のクライテリアを議論した。ステージ1構造が生成するか否かのクライテリアはc軸方向の結晶子の厚みにあり,黒鉛化度やa軸方向の結晶子の広がりではないことが実験的に示された.硫酸の電気化学的インターカレーション反応の進行に伴うポテンシャル変化は,ホストの結晶性に強く依存し,それをシミュレイションによって議論した.
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