安定窒素分子を活性化する場としてガス拡散電極の最適な電極構造および触媒について検討し、本電解用ガス拡散電極の高性能で再現性のある製造法を確率した。触媒として窒素源を持たない金属触媒を選び、塩化物を塗布、還元することで担持した。 多種の金属触媒を担持したガス拡散電極を用いて実験した結果、Pd-Ru合金触媒のみがアンモニアを生成することが明らかとなった。触媒組成を検討した結果、Pd : Ru=(1 : 1)電極はアンモニア生成量が最大でありPd、Ru単独ではアンモニアは生成しなかった。電解前後での触媒量を蛍光X線分析するとPd、Ru量の変化はないことが明らかとなった。XPS測定では表面吸着窒素原紙の量は確認できなかった。現状ではこれらの触媒を用いても室温でのアンモニ生成効率が1%以下で、生成量の減衰が大きいという問題点がある。 鉄触媒を担持したガス拡散電極でアンモニア生成量が多いことをみいだした。検討の結果、この電極は大気中のアンモニアを吸着し、電解時に放出する。窒素中に保管するとアンモニア中間体が表面に生成し、-1.5Vで還元され、アンモニアになること。窒素分子の直接還元でアンモニアが生成するがPd:Ru=(1 : 1)担持ガス拡散電極に比べ活性は1/2程度である。また活性化処理でコンスタントにアンモニア生成が起こることが分かった。 次に、Pd-Ru系触媒の反応性を気相反応で確認した。水素吸蔵Pdの表面にそれぞれPd-Ruをブラック状に析出させた試料とPd-Ruブラックを付けた試料を純窒素中に放置し、精密天秤で放置時間と重量変化を測定した。吸蔵水素と窒素分子が反応すれば試料の重量が大きく変化する。Pd-Ruブラックを付けた試料は他の試料に比べ重量減が大きくアンモニア生成反応が進行していることが分かった。
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