従来法では、実現不可能な配位環境をもつカチオンを多量に含んだり、新規な中距離構造をもつガラスをゾル‐ゲル法で合成することを目的として研究を進め、本年度は以下のような成果を得た。 1.5配位ケイ素を含むグリコラト錯体の合成に成功し、そのゾル‐ゲル過程とガラス化過程を調べた。その結果、アルコキシドからと同様シリケートガラスを作ることができることは判ったが、ケイ素の配位数が5以上になるとの確証は得られなかった。さらなる調査とゲルマネートへの展開を次年度予定している。 2.R_2O‐TiO_2(R:Na、K)、BaO‐TiO_2、Bi_2O_3‐TiO_2系非晶質固体を合成し、構造と光学特性を調べた。R_2O‐TiO_2では超急冷法によるものと比べTi^<4+>の配位数は大きいことが分かった。またBi_2O_3‐TiO_2ではTiO_2を90mol%まで含むアモルファス固体を作ることができ、その三次の光学非線形性は10^<-12>esuオーダーと非常に高いものであった。 3.500℃という低い温度でα-アルミナを生成する新規なアルミナ非晶体を合成した。構造の特異性は次年度さらに深く調査する。 4.ネットワークにSを含むものとしてNa_2S‐GeS_2系を選び、ゾル-ゲル合成に先だち、溶融法でガラスを作り、構造及び光学的性質を調べ、Geの配位数の組成変化が酸化物系とは異なることを見出した。
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