研究概要 |
セメント中には凝結を遅延させるためにセッコウが添加されており,これは焼成して再生セメントを試製するさいに揮散すると考えられる。そこで,焼成する前に20℃水中にセメント水和物を浸漬させると全量の1/5程度のSO_3が溶出する。なお,浸漬する温度を上昇させると順次溶出量は増大し,100℃では70%程度に達する。すなわち,焼成前に水中にコンクリート廃材を熱水に中浸漬することにより大部分のSO_3を除去することが可能である。 コンクリート廃材の有効利用を目的として,コンクリート廃材を海水中に懸濁させ,これに現在温室効果の主因とされている二酸化炭素を吹き込むことによるセメント水和物粉末中のカルシウム分の溶解について検討を行った。コンクリート廃材に二酸化炭素を吹き込みシリカゲル,アルミニウムおよび細骨材を除去して得た炭酸水素カルシウム溶液に水酸化カルシウムなどのアルカリ物質を添加してpH調整することにより,コンクリートの原料である炭酸カルシウムおよび海水中やコンクリート廃材中のマグネシウム分を水酸化マグネシウムとして回収することの可能なコンクリート廃材の再資源化プロセスを提示した。この結果は,第90回石膏石灰学会学術講演会において口頭報告を行い,現在無機マテリアル学会(旧石膏石灰学会)学術論文誌に投稿中である。 さらに,コンクリート廃材を水熱反応を行うことにより軽量不燃建材としてよく知られているトバモライトの合成についても一部成果をあげたため,第91回無機マテリアル学会学術講演会において口頭報告を行った。
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