研究概要 |
コンクリート廃材の再資源化については,コンクリート廃材を人工海水中に懸濁させ,そこに二酸化炭素を吹き込みセメント水和物粉末中のカルシウム分を溶解させた。溶解後の残物はシリカゲル,アルミニウムおよび骨材であり,これらはそのまま吸着剤や再骨材として利用することができる。また,液相中のカルシウムイオンおよび海水中に含有されているマグネシウムイオンはpHを調整することによってコンクリートの原料である炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムとして回収することができる。 また,コンクリート廃材から軽量不燃建材の構成主成分であるトバモライトの合成としては,コンクリート廃材にケイ石を添加した場合の水熱処理条件について検討を行った。CaO/SiO_2mol比を0.8,水酸化ナトリウムを添加してpHを13.0に調整して水熱処理を行うと,14℃で12時間,170℃で3時間程度でトバモライトを得ることができる。得られたトバモライトの2次粒子は25μmであり,その表面は1〜2μm程度の薄板状の1次粒子の凝集体である。コンクリート廃材を原料とすると,従来の合成法と比較して低エネルギーでトバモライトを合成することが可能であるが,さらに研究を継続中である。 さらに,セッコウボード廃材の有効利用としては,セッコウボード廃材粉末を乾式あるいは湿式処理することにより脱水させて試製した再生半水セッコウの性質についても検討を行った。この結果については第92回無機マテリアル学会学術講演会において口頭報告を行った。
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