1)p-キノン類と 1、3-双極子との成還付加体の塩基による特異な異性化反応および付加体や異性化反応生成物の酸性条件下での転移反応の適用範囲と限界を明らかにするために、他の1、3-双極子やジエン類との成還付加体の反応を検討する。 2)異性化反応生成物や転移反応生成物の構造は、単結晶の作成ができなかったためにスペクトルデータをもとに推定していた。単結晶作成の試みを繰り返し行った結果、置換基によっては単結晶が得られるものが見いだされたので、その結晶構造解析を行ったところ推定構造とは異なる結果となった。結晶構造解析によって得られた構造が、他の全ての化合物にあてはまるものであるのか、特定の置換基を持つもののみにあてはまるものであるのかについて検討を加えている。結晶構造解析によって得られた構造が正しいとすると塩基性条件下でアルキル基の転移が起こるという従来ほとんど知られていない極めて特異な反応が起こったことになり、反応機構などの見直しが必要になる。ブタジエン、シクロペンタジエン、などのジエン類との付加体の反応によって異性化反応の反応機構を明らかにできるものと考え、成還付加体の合成と生成物の反応性について検討を加えている。 さらに、シクロペンタン環が縮環したキノン誘導体を合成するために、p-ベンゾキノン類とトリメチレンメタンとの反応を検討し、期待した付加体が比較的好収率で得られることを明らかにした。得られた付加体の塩基や酸による反応について検討を加えている。
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