研究課題/領域番号 |
07455354
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
伊藤 卓 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50016721)
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研究分担者 |
湊 盟 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (40239306)
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キーワード | フェロセン / ソルバトクロミズム / モリブデン / シクロペンタジエニル / フェノキソ / pi共役系 / 非線形光学材料 / ヒドリド錯体 |
研究概要 |
昨年度に引き続きpi共役系の化合物を配位子として中心金属に結合させることにより、有機遷移金属化合物を大きなpi電子系の広がりをもつ化合物に誘導することを試みた。中心の遷移金属が、広範囲の原子価状態の間を容易に変動できるという特性を有することから、pi電子系の他端に電子吸引性または電子供与性の置換基を導入すると共鳴効果によってその電子的影響を中心金属が受容し、結果として、大きく分極した構造の分子を構築することが可能となり、ひいては、二次の非線形光学特性に必須な分子超分極率の大きな分子が得られることも期待される。フェロセンの二つのシクロペンタジエニル環にそれぞれドナー基とアクセプター基の双方を導入して、電荷移動を増幅させた錯体を合成することを試みている。ドナー基として臭素、アクセプター基としてp-ニトロフェニルエテニル基を合成したところ、若干のソルバトクロミズムが観測された。今後、この化合物を原料として、臭素置換基をさらに種々の電子供与基に置き換えた一連の化合物を合成するための手掛かりをつかむことができた。また、モリブデンヒドリド錯体[(eta^5-C_5H_5)_2MoH_2]の反応性を種々追求するなかで、主としてパラ位に置換基を導入したフェノキソ配位子を有するカチオン性のモリブデン錯体[(eta^5-C_5H_5)_2Mo(PEt_3)(OC6H4-R)]^+を吸率良く合成する方法を見出し、それによって一連のフェノキソ錯体を得た。これらのいくつかについては、ソルバトクロミズムが観測されたことから、新たな大きく分極する構造をもつ錯体を合成する道が拓け、今後の材料としての物性評価に期待が寄せられる。本科学研究費補助金により導入したIndyを中心とするWSシステムを用いてX線構造解析ソフトのTEXSANを実行させることにより、得られた錯体の幾つかの構造解析に役立てることができた。
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