有機-無機複合機能薄膜の作製を目的として、種々の有機色素、フォトクロミック色素、蛍光有機色素をゾル-ゲル法で作製されるゲル薄膜にドープし、フォトクロミックゲル膜の繰り返し特性や着色ゲル膜や蛍光ゲル膜の光安定性について検討し、以下の結果が得られた。 1.フォトクロミックゲル薄膜中でのスピロベンゾピランやスピロナフトオキサジンでの発色種は、ゾル液の反応時間が長くなるにつれて、安定化し、また、発消色の繰り返し特性も、ゾル液の反応時間が長くなるにつれて向上することが明らかとなった。 2.種々の有機染料や顔料を用いてゾル-ゲル法でガラスを着色することができることを利用して、リサイクル可能な着色ガラスびん製造法にも応用可能であることが明らかとなった。 3.蛍光ゲル膜中での超微粒子分散色素の蛍光寿命は、溶液中とほぼ同様の蛍光寿命を有し、ゲル膜中に色素が均一に分散していることが判った。また、ゲル膜中の色素の蛍光量子収率は、ゲルマトリックスの影響を強く受けることが明らかとなった。 4.使用した6種類の蛍光色素の中で、ペリレン系蛍光色素がゲル膜中で最も優れた光安定性を示すことが明らかとなった。また、クマリン誘導体の光安定性は、マトリックスゲルの影響を受け、緻密なゲル薄膜を形成するオリゴマータイプのアルコキリシランから成膜されるゲル薄膜中で最も高い光安定性を示した。 以上の成果は、すでに4報と報文と口頭発表4件で公表した。
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