研究概要 |
電子移動反応を選択的に行うために、基質自身に電子移動を促進するとともに電子移動により生成した活性種の反応を制御する電子補助基をつける新しい方法論を開拓し,有機合成に応用することが本研究の目的である。 平成7年度は,イオウを電子補助基とする電解酸化による炭素-炭素結合形成反応およびイミダゾイル基を電子補助基とするカルボニル化合物の電解還元反応の2つの課題について検討を行い顕著な成果をあげた。 (1)イオウが電子補助基としてエーテルなどの電解酸化に対して極めて有効であることを見出した。そして,イオウを電子補助基として用いた分子間および分子内炭素-炭素結合形成反応を開発した。すなわちα-オルガノチオエーテルをアリルシラン存在下に電解酸化することによりエーテルのα位にアリル基を導入する反応および分子内に炭素-炭素二重結合をもつα-オルガノチオエーテルを電解酸化による環化反応などを開発した。 (2)還元的な電子移動反応に対して電子補助基としてはたらく官能基を探索した結果、カルボニル化合物の電解還元においてイミダゾイル基が極めて有効であることを見出した。すなわちアシルイミダゾールをクロロシラン存在下に電解還元してアシルシランを効率よく合成する方法を開発した。
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