研究概要 |
本年度は銅触媒によるアルカンの新規アミノメチル化反応を中心に検討し次の成果を得た。 1.最適反応条件の検討 トリメチルアミンN-オキシドとシクロヘキサンのCu(OAc)_2触媒による反応を詳細に検討し,反応の最適条件(基質1ml,アミンN-オキシド5mmol,トリフルオロ酢酸3ml,触媒0.1mmol,130℃,15h)を明らかにした。この反応条件によりシクロヘキサンの他,各種シクロアルカン,エタン,プロパン等のガス状アルカンも同様に反応して,相当するアミノメチル化生成物を高収率で与えることを見いだした。また,アミノメチル化剤として,上記のものの他,種々のアミンN-オキシドがアルカンと反応してアミンを与えることを確認し,本反応が一般性の高い合成反応であることを明らかにした。 2.反応機構の検討 反応の律速段階を明らかにする目的で,C_6D_<12>やN-メチル(d_3)-ピロリジンN-オキシドを用いて同位体効果を検討した。まづ,トリメチルアミンN-オキシドのC_6H_<12>及びC_6D_<12>に対する競争反応の結果,KH/KD=2.9が,またN-メチルピロリジンN-オキシドとN-メチル(d_3)ピロリジンN-オキシドのシクロヘキサン(C_6H_<12>)に対する競争反応よりKH/KD=1.2が得られ,本反応の律速段階はアルカンのC-H結合の切断ステップであることが明らかになった。 さらに,4-tert-ブラルカテコール等のラジカル捕捉剤を加えると収率が減少することより,反応がラジカル的に進行していることが示唆された。
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