研究概要 |
最終年(2年目)になる今年度は,アルカンのアミノメチル化反応について主として研究を行った。これまでの研究により酢酸鋼/過硫酸カリウム/トリフルオロ酢酸を用いることにより,エタン,プロパン,シクロヘキサン,シクロペンタン,シクロペプタン,シクロオクタン,アダマンタン等のアルカンがメチルアミンN-オキシドによりアミノメチル化され相当するアミンを高収率で与えることを明らかにしているので,さらに本反応の機構について検討を行い次の知見を得た。 1.シクロヘキサン-d12を用いて同位体効果を検討した結果,KH/KD=2.9が得られC-H結合の切断過程が反応の律速段階であることが判明した。 2.本反応はメチルアミンN-オキシドと溶媒のトリフルオロ酢酸よりイミニウム塩(H_2C=N^+R_2・X^-)が生成し,これにアルキル銅(RCuOCOCF_3)が求核的に攻撃して進行すると考えられる。実際にイミニウム塩を別途合成して,アルカンと反応させるとアミンが得られる。 3.基質として普通のアルカンは全て本反応に適用できるが,メタンはこれまでの検討では本アミノメチル化反応を起こさないで,メチルトリフルオロアセタートを少量与えた。これはメタンC-H結合の104kcal/molに及ぶ結合エネルギーによりC-H結合の切断が他のアルカンに較べて困難なことを示すが,今後の検討により反応を可能にしたい。
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