1.粘土層間の特異な反応場を利用したポルフィリン合成:酸修飾モンモリロナイトの物性と固体酸触媒機能を調べ、特異反応場を利用するポルフィリン合成について検討した結果、ポルフィリンの効率的生成に有効な平均細孔径約30Åのメソ細孔をもつ酸修飾モンモリロナイトを新たに構築することができた。 2.粘土層間固定化コバルトポルフィリン錯体触媒によるシクロヘキセンの酸素酸化:コバルトポルフィリン錯体を層間に固定化した複合体はイソブチルアルデヒド共存下、シクロヘキセンの酸素分子によるエポキシ化反応に高い触媒活性を示した。モンモリロナイトはコバルトポルフィリン錯体の安定化に寄与するとともに、立体規制された反応場を構築して、酸素分子を活性化し、有機酸化反応を促進する役割を担っている。 3.界面活性剤修飾粘土層間固定化金属ポルフィリン錯体の合成:セチルトリメチルアンモニウムクロリドで修飾したモンモリロナイトとコバルトポルフィリン錯体との固体間反応による極めて簡便な方法で、ポルフィリン分子が界面活性剤修飾モンモリロナイト層間に垂直に配向した新しい層間化合物を合成した。新たに合成された複合体はシクロヘキセンの酸素酸化を触媒し、選択的かつ高収率でシクロヘキセンオキシドを生成することから、オレフィンのエポキシ化触媒として極めて有効であることを見い出した。 4.コバルトポルフィリン錯体の光増感作用:光化学電池による短絡光電流および光増感水素発生量の測定から、ポルフィリンの光増感作用に中心金属が重要な役割を担っており、特にコバルトポルフィリン錯体の光増感作用が最も高いことを明らかにした。TiO2電極に吸着した錯体の蛍光寿命から、錯体から電極への速い電荷注入が確認されたが、電荷注入効率と短絡光電流および光増感水素発生量との間に相関は認められなかった。
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