これまで、申請者等は[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2等の錯体が芳香族アセチレン類の新しい立体規則性重合触媒であり、アミンを助触媒として使用すると選択的にシス体のポリアセチレンを高収率で与えることを報告してきた。 新規の脂肪族のアセチレンモノマーであるプロピオール酸エステル;HC≡CCOORの場合はメタノールを使用すると、このRh錯体触媒で重合でき、可溶性のポリ(プロピオレート)のポリマーが生成することも見出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフイ(GPC)用いて分子量を測定した後、このポリアセチレンポリマーが実際に頭-尾結合で重合し、シス体構造を取っているかを^1Hや^<13>CNMR、レーザーラマンスペクトルを測定して調べた。その結果、確かにポリマーは頭一尾結合を作っていることを見出した。また上記のポリマーのX-線解析から擬六万晶のラセン構造、即ちカラムナ-(液晶の一種である)構造(極めて珍しい自己組織)を取っていることも明らかに出来た。ポリ(プロピオレート)のポリマーの側鎖のアルキル基が短いときは形成されるカラムを構成しているポリマー鎖に乱れが存在し、それが長いときは7本のシス体のポリアセチレン鎖がきちんと束ねられていることが明らかになった。 溶媒を用いてキャストてしてフィルムを作り、酸素富化機能膜としての機能を調べた。プロピル基場合の酸素透過係数の比;PO_2/PN_2=3.4であることが判った。
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