研究概要 |
(1)ポリエチレンの構造とトライボロジー 3種類のポリエチレン(LLDPE,UHMWLLDPE,UHMWPE)について摩擦、摩耗実験を行った。その結果、摩擦係数はすべての試料について空気中よりも水中の方がはるかに低いことがわかった。比摩耗速度は用いた試料によってかなり異なった値を示した。LLDPEの比摩耗速度は比較的高く、UHMWLLDPEの約100倍、UHMWPEの約300-600倍であった。ポリエチレンの摩耗粉、母材の構造と摩擦機構についての検討は現在研究中である。 (2)ポリエステルの構造とトライボロジー ポリエチレンテレフタレート(PET)について摩擦、摩耗試験を行った結果、空気中では摩擦係数の荷重依存性は荷重の増加とともに減少する傾向があった。摩擦表面にはすべり方向に平行に明暗の縞模様が観察され、暗い部分はリボン状の微細な摩耗粉と考えられた。このにような摩擦表面はポリエチレンにおいても観察されており、PETにおいても分子鎖がすべり方向に配向していることが明らかになった。 (3)摩擦最表面の分子配向 UHMWPEの摩擦表面に対して、HDPEを真空下で徐々に蒸着した。これにより、蒸着されたポリマー(ポリエチレン)は摩擦最表面の分子配列に沿ってエピタキシャル成長することが明らかとなった。それにより、摩擦最表面の構造に関して次のような情報が得られた。水中では摩擦最表面の分子配向は微細な摩耗粉のリボン状晶よりも低いことが明らかになった。
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