スチレン-イソプレンブロック共重合体(SI)をはじめ多くのブロック共重合体は規則的ミクロ相構造から不規則または混合状態への規則-不規則転移(ODT)を示す。そのような構造変化を反映してODTの前後でブロック鎖の運動状態が大きく変化する。本研究の目的は転移の熱力学と揺らぎの関係を解明することを目的とする。 まず断熱型比熱計の作成を行なった。温度計として、ロジウム-鉄抵抗温度計を用い、その抵抗を精密なブリッジ(ASL社S1059PA型)で測定し温度を0.0001Kの精度で読み取った。二重の断熱壁をもつクライオスタットを作成し、試料セルは金鍍金した。断熱状態でジュール熱を加え比熱を測定した。また種々の計器の読み取りや温度制御はコンピューターにより自動化した。この装置によりスチレン-イソプレンブロック共重合体(SI)溶液の比熱を測定したところ規則-不規則転移(ODT)によるラムダ型の熱異常が観測され、Leiblerの理論と比較した。比熱の研究と平行して、種々の組成および分子量を持つSI共重合体について少角X線散乱(SAXS)の測定を行った。また転移点近傍の動的挙動を調べるため、トルエン溶液の誘電測定を行った。その結果、ラメラモルフォロジーを持つSIジブロック共重合体では、ODTによるSAXSの散乱強度変化と誘電緩和スペクトルの変化がよく対応していることを見い出した。
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