純理論的なヘリコプタロータの騒音レベルの計算法を完成した。計算法は空気力計算コードと音響計算コードから構成し、空気力計算コードは局所運動量理論を拡張して、高精度・高分解能化を図って使用した。従来の空力計算法は、ブレ-ドに働く変動荷重推定を目的として作られてきたため、せいぜい回転数の6倍程度までの周波数の信頼性しか得られていなかったが、翼端渦の安定性や変形の高精度化、高分解能化を図った。15EA02:翼端渦の安定性は、渦が1本の場合は極めて高いが、低騒音化のために2本に分割すると、お互いに影響しあって再びroll-upし分割の効果が無くなってしまう。本研究では、微小なコアを持った多数の渦系で翼端渦全体を表現する方法を採用し、これを固定翼の翼端渦の実測値と比較し、良好な計算精度が得られることを確認した。続いて、この計算法を用いて翼端渦の安定性、変形の問題を研究し、低騒音化のために分割された2つの翼端渦の強さがほぼ等しい時に、最も両者の安定性が高く、また再びroll-upさせないための最小渦間距離を明らかにした。また、翼-渦干渉騒音(BVI騒音)の大きさを示す評価量として揚力係数の時間微分値が適していることを見い出だし、干渉渦のモデル化の違いによってどれだけこの評価量が変動するかを調べ、従来の計算法の渦モデルの計算限界を明らかにし、これを超えた場合用いるべき渦モデルを明らかにした。
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