本研究では、複合材料板の表面近くに、連続した一本の長い偏波維持光ファイバをあらかじめ埋め込み、光ファイバの長さ方向の被測定量分布を測定する分布型センサとして用いる技術を応用して、板表面に負荷される集中力の位置と大きさを同定する新規計測システムとして構築し、スマート複合材料/構造の有力な一手法として確立すること目的としている。具体的には、まず、入射レーザ光の周波数・位相変調を利用した分布型センサの計測装置を複合材料板の表面集中力測定用に構成する。また、偏波維持光ファイバを複合材料板の表面近くに埋め込む製造技術を確立する。次に、表面集中力によるセンサ出力の理論解析に基づく力の位置と大きさの予測を行い、測定結果と比較することにより、力の位置と大きさの同定誤差要因を把握する。 本年度の実績は以下の通りである。 1.まず、入射レーザ光の周波数・位相変調を利用し、偏波維持光ファイバを用いた分布型センサの計測装置を構成し、複合材料板の費用面集中力測定用に部分部分の予備実験を行った。初年度は集中力の位置同定は一次元的に行い、試験装置を構築することに成功した。 2.次に、表面集中力によるセンサ出力の理論解析に基づく力の位置と大きさの予測を行い、測定結果と比較することにより、力の位置と大きさの同定誤差要因を把握した。 3.偏波維持光ファイバを複合材料板の表面近くに埋め込む製造技術を確立するために試作を行った。センサの埋め込みは、熱して軟化させた状態の薄い熱可塑性樹脂複合材料プリプレグを、通常のCFRP複合材料板に固定された偏波維持光ファイバの上から貼り付けることにより行い、試作に成功した。
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