本研究は、複合材料板の表面近くに、連続した一本の長い偏波維持光ファイバをあらかじめ埋め込み、光ファイバの長さ方向の被測定量分布を測定する分布型センサとして用いる技術を応用して、板表面に負荷される集中力の位置と大きさを同定する新規計測システムとして構築することを目的とした。 具体的には、まず、入射レーザ光の周波数・位相変調を利用した分布型センサの計測装置を複合材料板の表面集中力測定用に構成した。また、偏波維持光ファイバを複合材料板の表面近くに埋め込む製造技術を確立した。センサの埋め込みは、熱して軟化させた状態の薄い熱可塑性樹脂複合材料プリプレグを、通常のCFRP複合材料板に固定された偏波維持光ファイバの上から貼り付けることにより行った。実現されたセンサ内含複合材料構造について、センサが構造自体の耐久性に与える影響を実験的に調べ、問題ないことを確認した。また、センサ損傷時の交換が容易に行えるかも実験的に調べ、解決すべき点を明らかにした。次に、表面集中力によるセンサ出力の理論解析に基づく力の位置と大きさの予測を行い、測定結果と比較することにより、力の位置と大きさの同定誤差要因を把握した。計測装置システム全体に存在する誤差要因をチェックし、より信頼性のあるシステムとして改良を加えた。これにより、力の位置と大きさの実用に耐える同定が可能となった。また、集中力の位置同定を二次元的に行えるようにソフトウェアを構築した。
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