実験的側面については主に藤井が担当し、理論解析のうち藤井が実際上の応用の視点から有次元の理論について、数学モデルとしては分布定数系を対象とするため、連続体理論に造詣の深い蔦原が無限次元の理論を発展させた。 本年度(平成9年度)においては前年度に考案した、最適状態の閉ループ伝達関数を近似的に実現するための理論に関して最高状態の閉ループ伝達関数の近似的な実現についてH(無限大)制御理論の適用の可能性の検討を行なった。実験的な側面では、前年度のプロトタイプモデルの作成に続いて、柔軟な宇宙構造物を模擬する三次元トラス構造と、その動特性試験及び制御システムを構築した。これについては、前年度において構築した制御系設計手法を実際のシステムに適用し、制御系設計手法の妥当性の確認と実装上の問題点を克服して行なっている。トラス構造物は銅製のパイプにより構築され、柔軟モードのうち、曲げ2モードの制御を実行した。その結果、特に曲げ第1モードにおける顕著で有効な制御が実験的に検証された。 さらに、本年度が最終年度である為、これらについて全体的に総括を行い柔軟宇宙構造物の波動吸収制御の実験的な側面を総合的にまとめ成果報告書をまとめた。
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