研究概要 |
構造物の腐蝕や磨耗などは検査者の主観によって評価されることが多い。しかし人間の主観は人によって異なるので,主観値と客観値の関係が未知な場合,客観的評価は困難である。そこで本研究は,人間の主観を定量化する手法について基礎研究を行った。 本年度は人間の主観的分類情報を,ファジィ帰属度関数を用いて定量化する確率モデルを提案した。まず,三角形の面積認識実験を行って主観値のばらつきが客観値の関数になること,および主観値の平均が客観値に対してずれを生じることを明らかにした。次に,主観的分類境界を導入して人間が主観値を分類表現する過程を考察し,分類特性がファジィ帰属度関数で評価できることを示した。また,数十のファジィデータから帰属度関数を推定する確率モデルを提案した。提案手法の有効性を三角形の面積認識実験で得られたファジィデータに適用して検証するとともに,この確率モデルが従来提案されている三角形や台形など多くの帰属度関数の形状も含むものであることを示した。 この帰属度関数はファジィデータから確率的に決定されるので,以降の信頼性解析に通常の客観情報と同様に使用できる。
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