海洋空間利用のために海上に大型浮体を設置すると、浮体による日射の遮蔽、海水の蒸発および降水等の遮断、風の影響の遮断等により、浮体周囲の海水の水質保全に悪影響の出る可能性がある。このような問題を事前に検証するためには、物理実験と並んで数値シミュレーションが極めて有効であるとの観点から、とくに、浮体まわりの海水交換に関する数値シミュレーションを実行しつつある。本年度は40km×20kmの矩形のモデル湾内において6km×2kmの浮体を中央に設置した場合、上記の諸要因を遮断することにより、どのような影響が出るかをシミュレーションで明らかにした。その結果は、平成8年秋季に開催された2つの学会において発表した。次年度は、さらに海水交換について調査する予定である。 モデル海域での数値計算の結果、判明したことは以下のとおりである。 ・ 日射の遮蔽により誘起される海水の流動は無視できない大きさとなる。また、海面に近い表層と深層とでは異なる流動系を作る。 ・ 浮体の存在が海水流動に与える影響は、広範囲に及ぼす可能性がある。
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