研究概要 |
本研究では、液中造粒法を廃棄物処理、資源リサイクリングの単位操作技術として確立することを目的として、応用可能な分野の把握、応用のための基礎技術の開発、応用のための基礎試験を行った。得られた主な成果は、以下のようである。 1.ノイズの規模と頻度に関するパラメータ及び懸濁液の濁度を示すレーザ光減衰量を計測し、それらと造粒体の回収率,造粒体径との関係を明らかにした。また、それらの関係よりオンラインで造粒現象をモニタリングできることを明らかにした。 2.応用例としてオイルコ-クス燃焼灰、通称EPス-ツ(電気集塵機で捕集されたス-ツ)の水中造粒プロセスを取り上げ、各種操作変数が造粒産物の歩留まり及び灰分に及ぼす影響等について調べ、コスト低減の可能性について検討するとともに、オイルコ-クス燃焼灰の特性を評価し、未燃カーボン及び有価金属の新しい回収法について検討した。 (1)水中造粒では、低灰分の未燃カーボンを高い歩留まりで得るために多くの架橋液体(C重油)を添加し、インペラ-回転速度を高速にし、造粒を長時間行う必要があった。 (2)空気中では未燃カーボンと灰分は凝集しているが、水中ではそれらは分離していること、粒径が小さくなるにつれ灰分が増加すること、灰分の粒径依存性はオイルコ-クス燃焼過程のモデルをもとに予測できることを明らかにした。 (3)-400mesh試料(灰分53.8%)の湿式磁力選別を行い、着磁物側にFeV_2O_4,Fe_2Sio_4,NiFe_2O_4,MgFeAlO_4を、非着磁物側にCaSO_4・1/2H_2Oを濃縮できることを示した。 3.液中造粒に及ぼす諸要因の影響、造粒現象、造粒過程のオンラインモニタリングシステム等について最近の研究結果を総括するとともに、実用化例と応用研究例を紹介し応用可能な分野の把握を可能にした。将来、液中造粒法は、資源および材料処理、資源リサイクリング、油処理、廃棄物処理等の分野で応用可能と考えられる。
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