地形改変を伴う開発により生じる景観変化は、自然破壊のイメージを与える場合が多く、開発に先立つ景観変化の予測とその影響評価を行うことが、環境アセスメントの中でも重要な課題となってきている。本研究では、露天採掘に伴う景観変化を、近年飛躍的に進歩しているパソコンによる画像処理を用いて予測する方法を考案するとともに、採掘許容限界や緑化による景観修復効果を定量的、視覚的に評価する方法について検討した。得られた結果を要約すると以下の通りである。 採掘に伴う景観変化の予測方法として、パーソナルコンピュータを用いて3次元数値地形モデルを作成し、ワイヤーフレームモデルおよびポリゴン画像処理によるサーフェースモデルによるコンピュータグラフィックスで、跡地の形状、大きさの変化をシミュレーションする方法を確立した。 3次元数値地形モデルをもとに、採掘進展に伴い跡地が見える範囲がどのように変化するかの可視解析を行うことが可能となった。 カラー画像処理により採掘前後の跡地の状況や修復緑化を想定したカラーフォトモンタージュの作成が可能となった。これらを変化刺激として、計量心理学的評価手法に基づく評価実験を行った。 評定尺度法および選択法による評価実験により、採掘跡地の見えの大きさ等の許容限界を定量的に解析することが可能となった。 SD法による評価実験結果を用いて、プロフィール分析、クラスター分析および因子分析を行い、評価要因を明らかにすることによって採掘跡地の景観を質的に解析することが可能となった。
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