研究概要 |
岩盤中にジョイント(不連続面)が存在すると"やま"が動き易いと考えられている.これは,鉱山のみならず土木構造物についても言え,ジョイントに関する多くの研究がなされてきた.しかしながら,ジョイントの力学的性質を表現するのにしばしば使用されるのは,依然としてC(粘着力)とφ(内部摩擦角)である.すなわち,岩盤中のジョイントは,摩擦滑りをおこすものとして捉えられている.しかしながら,従来の経験によれば,掘削終了後も内空変位が増大し続けることはしばしば観察される.そのような場合には周辺にジョイントの存在することが多い.これから類推すると,ジョイントに係わる変形・変位を時間依存性挙動とみなす方が適切と思われるが,従来このような観点からの研究は殆ど見当たらない. 本研究では,まず,田下凝灰岩と来待砂岩を試料岩石として選び実験を開始した.高さ5cmで直径5cmの試験片を用いて一面せん断試験を行い,試験途中の随所で応力緩和試験を実施した.特に注目して行ったのは,一面せん断試験でピーク強度を越えて残留強度領域に入った所での応力緩和試験である.応力緩和試験は,せん断変位を固定し,1時間にわたってせん断応力の低下を観察した.
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