研究概要 |
圧力転写型加工で自律的な形状創成を実現する新しい加工制御法を提案し,加工実験でその基本的性能を確認することを目的に研究を進めた.本年度はまず前年度の結果を踏まえて,加工兼用追従型変位プローブの改良を行い,レバ-部を片持ち方式から両持ち方式に変更した.具体的には,レバ-の両端を圧電素子で固定し,加工バッドを中央に配する.この構造は表面形状に対し,傾きを持たずにパッドを押し付けることができ,なおかつ左右の圧電素子の伸びに差を設ければ,表面の傾斜に倣って追従を行うことができる.それによって,砥粒を一定圧で加工物表面に押し付けることができ,変位プローブと加工プローブの動的性能が改善される.また,プローブの検出感度を高めるため,レバ-の傾きを検出する光学式角度センサの検出素子をPSDから2分割PDに換えた.それによって,変位分解能を一桁高い10nmまで上げられる.そして回転主軸(エアスピンドル)とx-zステージを組合わせた計測・加工実験装置を構築し,加工,形状測定実験を行った.形状測定実験から,大きい荷重の条件でも変位計の精度で動的に形状測定ができることが明らかになり,力制御型の加工兼用変位計測プローブとして実用上十分な性能を持つことが明らかになった.また,加工実験においては,インプロセス計測で得られた形状データから,加工面のうねりの除去の進捗条件を調べ,最適の加工条件を見い出した. なお,上記の実験で得られたデータを元に,3本のプローブによる形状加工,測定のシミュレーションを行った.それによって,開発したプローブによる3点法を用いれば,プローブの摩耗によるゼロ点変化を自律的に検出,補正することができ,外部的な基準を用いずに加工が行える自律的形状創成法が達成できることが明らかになった.
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