研究概要 |
平成7年度は,1)伝搬路変動推定方式,2)変調パラメータの選定と推定方式,及び3)送受信機構成,の検討を重点的に研究を進めた結果,1)については,人が端末を携帯して移動しながら通信をしている場合には,かなり高精度に伝搬路変動を推定できること,自動車に端末を搭載した場合のような伝搬路変動の速い場合には指向性アンテナとオフセット周波数の推定を組み合わせることにより,伝搬路変動を高精度に推定できることを明らかにした.2)については,変調パラメータとして,変調多値数,シンボルレート、誤り訂正符号の符号化率を選定し,各々の特性及びそれらの複合方式について検討した。その結果,これら3つを効果的に複合することにより,高速で高品質の伝送が可能であることを明らかにした.3)については,各種同期回路,フィルタ,シンボルレート可変に伴うタイミングロック制御等を検討し,比較的簡易な構成で変調パラメータの制御が可能であることを明らかにした. また,以上を総合し,屋内及び屋外のマイクロセル環境における伝送特性については計算機シミュレーションによって検討した.まず,変調多値数とシンボルレートを変調パラメータとしたシステムを,現在サービスされているパーソナルハンディフォンシステム(PHS)と同じ伝搬環境で動作させた場合の伝送特性をシミュレーションした結果,PHSの約10倍の伝送速度である2Mbit/sが実現可能との見通しを得た.更に,誤り訂正符号を複合した場合,誤り訂正符号を複合しない場合と比べて平均伝送速度を若干低下させるだけで,エラーフリーに近い伝送品質を得ることが可能であるとの見通しを得た。
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