レール型小形電磁加速装置を用いての超高速金属プラズマ照射の実験は、軟鋼基板表面へのタングステン(W)及びチタニュウム(Ti)コーテイングの実験を各2回、アルミニューム(A1)基板表面へのWコーテイングの実験を2回、計6回の実験を行ない、それぞれの評価を行なった。いずれも、通常行なわれている低速プラズマコーテイングにより作製された被膜の基板への接着の場合とは異なり、被膜-基板接合界面は、不連続的でなく、合金層を形成した強固な接合を見せており、Wのような大気中で酸化しやすい金属のコーテイングが、殆ど酸化せずに形成されていることが判明した。断面の組織観察結果やEPMA分析結果と超微小硬度計測定結果は良い符号をみた。 また、ステンレス鋼や軟鋼回転軸表面へのFe-B-Si非晶質磁性膜接合を、銀蝋を用いて行ない、結晶化したその表面をレザークエンチ法により再度非晶質化し、非接触型トルクセンサーに利用するための基礎的実験を行なつてきた。その際の膜の付着強度、構造や物性と断面硬度分布等を先ず調べたが、膜の付着は十分に強固であり、構造的には一部の熱影響部を除き本質的には非晶質状態であることが認められ、非晶質膜特有の優れた軟磁性を持つことが判明した。軸に加えたトルクを検出する感度も良好で、目下は、銀蝋以外の接合法の検討や、使用寿命を考えての疲労試験の実施、実機への応用を考えてのセンサーと検出器の装着法を検討し、それに関する予備的実験の実施計画を立案し、準備中である。
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