レール型小形電磁加速装置を用いての超高速金属プラズマ照射の実験は、昨年の実績を踏まえて、応用面を念頭に置き金属基板、特に軟鋼基板へのWの二重、三重打ちを何度か行ない、コーテイング膜の厚さを増大することと、それによる膜自体の構造変化や接着強度への影響を調べることを重点に実験を行なった。結果としては、二重、三重打ちにより膜厚の増大は見られ、また、前回の一重の時と同様に酸化は少なく接着も良好であったが、膜の構造については溶射最適条件を求める余地がまだあるように思われる。今回は、膜断面の透過電子顕微鏡及びEPMA(Electron Probe Microanalyser)分析に加えて、FIB(Focus-ed Ion Beam)を新たに利用して膜面に並行な試料を作製し、接合層の構造をも調べ接合の強固な原因を確かめた。 また、ステンレス鋼や軟鋼回転軸へのFe-B-Si非晶質磁性膜接合を、昨年の銀蝋のみならず各種の新接着剤をも用いて行ない、付着強度や耐久性に付いて比較を行なった。今回の接着では銀蝋の時のような事後のレーザークエンチによる非晶質化処理を要しない利点がある代りに、接合の耐久性の維持について更に工夫を要することが分かった。非接触型トルクセンサーを試作し、実用上十分なトルク検出感度を得ることが出来たが、使用寿命やセンサーと検出器の実車への装着法については今暫くの時間が必要である。
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