本研究により以下の成果を得た。 1.偏心回転ランスからのガス吹込みでは、(1)浴内の混合時間は、浴が浅い場合はガス流量の増加とともに浴がいくつかのセルに分割されるため大きくなる。一方、浴が深くなると、ガス流量の増加とともに混合時間は小さくなる。(2)浴内にはプルームは形成されず、また分散気泡間の距離も大きくなるため、気泡間の合体が起こりにくく、気泡上昇速度も単一気泡の上昇速度にほぼ一致する。(3)多孔ランスを用いることにより、小気泡が多数生成するが、分散気泡密度が大きいため、回転速度が大きいときには気泡間の合体が起こる。したがって、気泡微細化の観点からは、最適の回転速度が存在する。(4)NaOH水溶液 CO_2ガスを吹込んだ場合の吸収の容量係数は、静止ランスからのガス吹込みの場合に比べて、微小気泡の分散による気液界面積の増大により大きくなる。多孔ランスを用いた場合の容量係数は単孔ランスを用いた場合に比較して大きいが、分散気泡間の合体が起こるため、比較的高いランス回転速度においては容量係数は減少する。 2.スロットノズルからのガス吹込みでは、(1)スロットの長さ方向に気泡発生点が多く存在し、その結果従来の単一ノズルに比較して生成気泡が大幅に小さくなる。(2)液に対するノズルの濡れ性が気泡発生点数に影響を及ぼし、液に濡れる場合に比較して発生点の数が減少する。(3)生成気泡の大きさはDavidsonとSchulerの気泡生成発生モデルでほぼ説明できる。(4)スロットノズル上面の形状を山型にすることで、気泡発生点数は多くなり、生成気泡の大きさは小さくなる。(5)浴内の混合時間は、単孔ノズルによる中心底吹きの場合に比べて、プルームゾーンが大きくなるため短くなる。以上のことより、偏心回転ランス及びスロットノズルを用いることにより、気液接触操作が効率化されることが明らかになった。
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