研究概要 |
第二世代触媒として使用されようとしているRuが鉄の助けを借りずに工業条件下でも高活性を保つ為には、水素被毒の少ないRu触媒を合成しなければならない。申請者らはこのためにRu触媒上での吸着窒素と水素の挙動を動的に研究してきたが、最近発達したFTIRを用いるとこれらの吸着種が同定できる。触媒の種類や構造によって吸着水素の強さが異なるであろうし、前駆体分子状吸着窒素の活性化の状態も異なる。主としてFTIRを用いてこれらの点を順次明らかにしつつある。 まず、各種Ru触媒のモデルを合成し、その構造と反応性を明らかにした。Ruの出発原料としてRu_3(CO)_<12>等の各種クラスターを用い、酸塩基性のやRedox性の異なる各種酸化物を担体として用いることにより、又Cs塩等のアルカリ促進剤の有無により、3核Ru,6核Ru(窒素原子を中心に有するものもある)、数nm径のRuクラスター等Ruの粒子径の異なるもの等を合成した。それらモデルRu触媒の構造を主としてEXAFS,更にはXPS,XPD,FTIR,TEM等を用いて同定した。中心にN原子を有する6核Ruクラスターはアンモニア合成条件の300℃でも安定であり、Cs^+/MgO上に固定したものは著しく高活性であった。 次にFTIRによる吸着窒素、水素の挙動を明らかにした。塩基性の強い、電子供与性の担体ほど担持しているRuに強く電子を供与し、分子状に吸着した窒素分子のN-N結合を弱めることが分かった。吸着水素についても原子状で数種類の多重結合により吸着していることが分かった。 アンモニア合成活性の測定も行い、N_2,H_2混合ガスを用い流通法で得たアンモニアを硫酸中に固定し電導度変化よりその活性を測定し触媒性能の比較も行った。
|