研究課題/領域番号 |
07455439
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
松下 和正 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80024610)
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研究分担者 |
佐藤 隆士 鶴岡工業高等専門学校, 講師 (60226024)
小出 学 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (10272866)
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キーワード | ガラス転移温度 / 粘度 / 粘性流動の活性化エネルギー / ガラスファイバー / Fulcherの粘度式 / 緩和時間 / 非平衡状態 / 緩和スペクトル |
研究概要 |
ガラスは転移温度以下では原子・分子の運動が凍結された固体状態であり粘性流動は起こらないと考えられてきた。しかし転移温度以下においても体積収縮や結晶化が起こることはすでに知られていた。本研究では適当な直径のガラスファイバーを湾曲させたまま転移温度よりはるかに低い温度に保持し、熱処理後に残る湾曲の曲率半径を測定した。この湾曲はガラスファイバーの粘性流動より生じたものである。残留曲率半径と保持時間との関係より粘度を決定した。測定粘度範囲は10^<14>-10^<18>Pa・sである。ガラス転移温度よりはるかに低い温度での粘度を測定する方法を開発したのは本研究が世界で初めてである。 本研究ではPbO-SiO_22成分系ガラスを試料とし、液相温度以上の高温からガラス転移温度付近およびガラス転移温度以下の広い温度範囲にわたる粘度を測定した。ガラス転移温度以上の融液状態の粘度は温度が変わるにつれてFulcherの粘度式で表された。すなわち温度が低くなるにつれて粘性流動の活性化エネルギーは著しく大きくなる。しかしガラス転移温度以下では粘度の温度による変化が著しく小さくなり、粘性流動の活性化エネルギー転移温度以上に比べて1/4〜1/5になった。また転移温度以下でのガラスは熱力学的に非平衡状態であり、物性値は熱履歴により異なる。ガラスファイバーをあらかじめ種々の条件で熱処理しておくと、転移温度以下における粘度も熱処理条件により著しく変化することがわかった。測定時間および熱処理による粘度の変化を緩和関数に基づいて解析し、緩和機構の検討を行った。その結果、緩和時間は熱処理温度が高くなるにつれまた熱処理時間が長くなるにつれて大きくなった。緩和時間の分布を表す緩和スペクトルは熱処理温度が高くなるにつれまた熱処理時間が長くなるにつれて分布の幅が狭くなった。また緩和の活性化エネルギーも大きくなることがわかった。
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