研究課題/領域番号 |
07455440
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
木野村 暢一 山梨大学, 工学部, 教授 (50029732)
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研究分担者 |
熊田 伸弘 山梨大学, 工学部, 助教授 (90161702)
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キーワード | 層状化合物 / インターカレーション / ブルーモリブデンブロンズ / 銅モリブデンブロンズ / n-アルキルアミン / 有機塩基 / 酸素欠陥 / 電荷密度 |
研究概要 |
本研究においては、同一結晶構造内に物理的・化学的に異質な構成要素を原子・分子レベルで積み木を重ねるように組み合わせることを可能にするソフト化学的な手法を用い、多彩な電気・磁気的性質を持つ遷移金属層状化合物をホストとするインターカレーション化合物を合成し、ホストとゲストが異なる機能を分担するような機能性材料の合成を試みる。 前年度までにブルーモリブデンブロンズ、K_<0.28>MoO_3(BMB)、および銅モリブデンブロンズ、Cu_xMoO_3(CMB)、につき研究を行い、類似した層状構造にも関わらず両者ではアルキルアミンのインターカレーションに対する挙動は大きく異なることを見出した。しかし層間における有機分子の配列状態を制御することが困難であったため、広い範囲で電荷密度が制御でき、したがって層間における有機分子の配列状態を制御することができる層状化合物の探査と電荷密度制御の効果の確認を本年度行った。 HTaWO_6nH_2Oは、高い電荷密度を持った層状化合物であるが、Cs^+イオンとのイオン交換により得られるH_<1-x>Cs_xTaWO_6nH_2Oを熱処理することにより酸素欠陥を導入し、さらにH^+でイオン交換することによりH_<1-y>TaWO_<6-y/2>nH_2Oへとすることにより層間のH^+を減少することができた。酸素欠陥を導入するという全く新しい方法により、層間のH^+の占める面積は11から48Å^2へと増加し、同じ基本的構造を持ちながら層間の陽イオン量が変化できる幾つかの化合物の中では最も広い範囲で変化できることがわかった。層の持つ電荷密度の減少により、インターカレーションされる有機塩基の量、それらの層間での配列、および固体酸としての強さが大きく変化した。
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