水稲と陸稲の嫌気条件における生育反応の品種間差異について検討を行った。分子的な機構の解明とともに、嫌気反応の遺伝的変異を知ることも重要であると思われたので、幼植物の生育反応について、品種間差異を検討した。本年度はこれまでに供試した品種の一部について年次変動を検討するとともに、山内ら(1993)が紹介した外国水稲品種の一部を供試した。 湛水した管ビンの中で発芽させる嫌気条件Aでは、子葉鞘の伸長のみが認められる。年次間の変動はあるが、若干の品種間相関も認められた。品種によっては、年次を通して安定的に伸長のよい品種や、伸長の悪い品種があるように思われた。 ステンレスバットに水道水を流水で流して、嫌気条件をやや弱めた嫌気条件Bでは、子葉鞘の伸長は40%程度に短くなったが、本葉、根の発達がやや見られた。 ADH活性は嫌気条件Bのほうがずっと低かったが、A、B間の品種相関係数は0.81であった。品種Hei-chui-Liは、A、Bどちらの条件でも子葉鞘、本葉などの伸長が大きく、ADH活性も高かった。一方、N22は子葉鞘、本葉の伸長が悪く、ADH活性も低かった。
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