研究概要 |
園芸作物遺伝子源の凍結保存技術は、組織培養法による植物体再生技術が基礎となり、これに組織の凍結・融解・生存を可能にする技術を組み合わせることによって成り立っている。 1.組織培養法による植物体再生系の作出 (1),マタタビ(Actinidia polygama)葉柄のin vitro培養を行ったときのシュート形成率は、CPPU濃度が高くなるにしたがって高くなり、逆にIBA濃度が高くなると低くなった。シュート形成数は、CPPU 1μMとIBA 0.01μMとを組み合わせて添加した場合に多かった。一方、マタタビの媒養体シュートをNAA 1μMを添加したMi ller培地へ移植すると、発根率が100%となり、旺盛に生長する健全な幼植物になった。(2),ミヤママタタビ(Actinidia kolomikta)の新梢切片を培養したところ、シュート形成率は、BW培地を用いた場合には、CPPU 1μM以上の区で100%となり、IBAの至適濃度は0.01μMであった。また、形成されたシュートをMiller培地により培養したところ、NAA 1μM単独添加区で発根率が100%となり、完全な植物が得られ、健全な生育を続けた。 2.組織の凍結・融解・生存に適する方法の検討 サルナシ(Actinidia arguta)の培養体シュート側芽を-12℃で凍結したときの生存に対する促進効果は、グリセリンを添加したとき最も大きく、次いでスクロース、グルコース、ソルビトール、プロリンの順であった。これらの物質の至適添加濃度についてみると、分子量が小さいグリセリンでは高く(0.4〜1.6M)、分子量が大きいスクロースでは低い(0.2M)ことが明らかになった。
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