研究概要 |
園芸作物遺伝子源の凍結保存を行う場合、保存植物組織からの植物体再生培養系の確立および凍総・融解後の生存性の要素である耐凍性の向上を図ることが重要である。1,野生サルナシの新梢節部切片の培養によって得た培養体シュート節部切片を暗所で黄化培養することにより、短期間の大量増殖が可能であることがわかった。2,ミヤママタタビ培養体シュートをMiller培地にNAA1μMを添加した培養基で培養すると、全て発根し、幼植物となった。3,ミヤママタタビ培養体の根切片を、BW培地+2.4-D0.1μM+ゼアチン10μMで培養すると、カルスを形成したのち不定芽が形成され、これがシュートになった。また、葉片を、BW培地+2,4-D1または10μM+ゼアチン1または10μMで培養するとシュートを形成した。これらのシュートをNAA1μMを添加したMiller培地で培養すると、全てのシュートが発根し植物体になることが明らかになった。4,シャクの種子胚を、2,4-D10μMとGA_30.1μMを併用した培地で培養すると、多くの不定胚が形成された。5,ハスカップの野外植物体の茎頂では、秋から冬にかけての低温馴化期に含水率が低下し、耐凍性の増大とともに三糖類が多くなることが確認された。また、培養体の低温処理(5°C・8時間日長・1週間+0°C・8時間目長・1週間)を行うと、その節部組織の耐凍性が高くなった。6,アスパラガスの野外軸物体の茎頂では、前培養(糖高濃度添加培地、25°C、48時間)を行うと、糖の取込みおよび脱水が促進され、耐凍性が高くなることがわかった。また、培養体節部組織片では、前培養により凍結・融解後の発根およびシュート形成が促進されることが明らかになった。
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