1992年矮性台としてユスラウメ(Prunus tomentos-a)台および対照として共台(Prunus persica)のモモ品種勘助白桃を圃場に定植した。樹体生長を経時的に計測するほか、生長期間中の光合成・蒸散速度、根の呼吸量、露点法およびプレッシャーチャンバー法による水ポテンシャル、供試個体の一部を堀りあげ解体しての乾物分配、樹体内炭水化物の形態と分配などを調査した。 矮性台樹の生長は、定植後3年で共台樹に比べ樹高で51%、幹径で64%となった。新梢の伸長には年次間差があるが、矮性台では6月以降に伸長速度が緩慢となることが認められた。光合成速度は矮性台でやや低かったが、蒸散速度には差異は認められなかった。気孔密度は共台樹の283.1mm^<-2>に対し253.3mm^<-2>であり、このことが光合成速度の差に現れ、さらには生長量にも影響を及ぼしたと考えられた。根の呼吸量は概して矮性台で値が低かった。根の活性は地上部のsink能の大小に影響され、矮性台はsink能が低いため低位を示したものと思われる。葉のポテンシャルは、明らかに共台に比べ小さく、その日変化は大きいことが認められた。樹体内炭水化物の分布をみると、新梢伸長停止期には葉の総量が明らかに共台に比べて少なく、転流形態であるソルビトールも少なく、これは光合成速度の差異とも一致するようであった。また、休眠期における新梢および根でのシュクロース量が多いことが注目された。
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