1.本年度も多数のカンキツ類を供試して、花柱における自家受粉した花粉管の行動を調査し、ブンタン類を中心として11品種が自家不和合性であることを見い出した。 2.前年度までに推定した自家不和合性遺伝子S及びZを確認するために多数の品種間交配や戻し交配を行って実生を育成し、Got-1とGot-3のひずみ分離を解析した。その結果、Got-3では予想した交配組合せにひずみ分離が認められ、また新たに、ヒョウ柑を用いた交配組合せにもひずみ分離が起きることを見い出した。戻し交換実生においても予想どおりにひずみ分離が認められた。Got-1でも同様に予想した交配組合せにひずみ分離が認められ、また戻し交換実生にも著しいひずみ分離が見られた。 3.以上の結果からGot-1と不和合性遺伝子Zは30cMの距離で連鎖していること、またGot-3と不和合性遺伝子Sはほぼ同様に30cMで連鎖していると結論した。 4.花柱に約200個の花粉粉を受粉し、花粉管数を調査した結果、半和合性の交配組合せを確認することができた。 5.以上のすべての研究結果をもとに現在まで4Z対立遺伝子と7S対立遺伝子を特定した。現在これらの結果から、多数品種におけるS及びZ対立遺伝子型を明らかにしつつある。
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