研究概要 |
1.不発芽現象発生に関与する要因の解析 促成栽培でみられる不発芽現象は,入手後の球根が乾燥貯蔵(9℃,20℃,25℃,30℃で2週間)され,その後低温(2〜20℃)に遭遇することにより発生することがわかった.25℃で2週間乾燥貯蔵された球根では,9℃に3週間遭遇したときに最も強い不発芽がみられたが,9℃に置かれ続けるとやがて発芽が促され,約16週間後から発芽がみられた.なお,温湯処理は,一連の不発芽発生条件(乾燥+低温)に遭遇する前に行うのが効果的であった.さらに,不発芽となった球根に対しても温湯処理を行い,続いて低温に移すと発芽が促されることがわかった. 不発芽が誘導された球根について形態的観察を行ったところ,球内の茎頂部では低温処理後に葉原基の分化が起こったが,それらは普通葉ではなく,りん片葉に発達していることが明らかになった. 2.異なる花芽の発育段階における高温遭遇が奇形花発生に及ぼす影響 花芽形成過程の種々の段階で,鉢植え株を35/25℃(昼/夜温)の高温に遭わせた結果,花芽の器官形成が始まる前,すなわち花芽の発育初期の段階での高温遭遇により,がく割れ(内花被の発育不全により,外花被と内花被が離れる)や雄ずいの発育異常(雄ずいの弁化,雄ずいの過剰または不足)が発生した. 3.花らいの発達に及ぼす低照度の影響 2月中旬から3月下旬までの間,花らいの発育段階が異なる株を,最低12℃のガラス室内で焼く90%遮光をした低照度下に2週間置いた.その結果,花らいの着生位置に関わらず,ブラスチングの発生がみられた.なお,遮光率を50%,40%とした場合にはブラスチングの発生はまったく認められなかった.
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