研究課題/領域番号 |
07456025
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
本田 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (90126160)
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研究分担者 |
正野 俊夫 筑波大学, 農林学系, 教授 (80011922)
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キーワード | 熱帯植物 / 有毒成分 / 摂食阻害物質 / コナガ / ネッタイイエカ / Dioscoria hespida / Dioscorin / シキミ |
研究概要 |
フィリピン産の野生ヤマイモ、Dioscoria hespidaの塊根が現地で害虫防除剤として使用されていることに着目し、その有効成分の探索と数種昆虫に対する生理活性を検討した。また予備試験として、有毒植物として知られているシキミの成分中に殺虫成分の有無を探索した。 Dioscoria hespidaの塊根麿砕汁のイエバエ(Musca domestica)成虫、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)幼虫、ナミアゲハ(Papilio xethus)幼虫、及びコナガ(Plutera maculipenis)成虫、幼虫に対する殺虫活性、産卵阻害活性あるいは摂食阻害活性の有無について検討した。いずれの昆虫種に対しても顕著な殺虫活性は認められなかった。またハスモンヨトウ幼虫にたいしては摂食阻害活性は無く、コナガに対しては産卵阻害活性は認められなかった。一方、ナミアゲハ幼虫とコナガ幼虫に対しては強い摂食阻害活性が認められた。そこでコナガ幼虫を用いて塊根磨砕汁中の摂食阻害活性成分の分離・同定を試みた。 破砕した塊根を各種有機溶媒で抽出し、得られた抽出物中の活性画分をさらに各種クロマトグラフィー法を用いて分画した結果、アルカロイド画分に強い摂食阻害活性が得られた。アルカロイド画分をTLCにより分画精製し、2種類のアルカロイドを単利した。これらの成分の1つは分子量213のdioscorinと同定された。他の成分はこれよりも極生の低いアルカロイドであると推定された。Dioscorinは100ppmでも有意にコナガの摂食を阻害することが明らかとなった。エーテル可溶部にも摂食阻害活性が認められ、この成分は非アルカロイドであった。 シキミ果実及び種子の各種有機溶媒抽出物のネッタイイエカ幼虫に対する致死活性を検討した結果、種子をメタノール抽出して得た酢酸エチル可溶部に、50〜40ppmの低い濃度でも致死活性を示す成分が存在することが明らかにされた。
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