平成7年度にえられた研究成果は以下の通りである。 (1)イネ科植物葉枯性病原菌であるBipolaris、Curvularia属菌、Drechslera、Exserohilum、Nakataea各属所属菌、主としてイネ科植物を侵害する重要病原糸状菌を多数分離した。 (2)C. lunata及びBipolaris maydisの単一コピー遺伝子断片をプローブに用いたサザン分析によるRFLPバンドパターンの比較から、Curvularia属菌のC.geniculata群に属するC.geniculata、C. senegalensis、C.affinis、C.fallaxとされたきた諸菌が同一種であることを、明らかにできた。なお、従来C.geniculataと見なされたきた菌株の中には、RFLPバンドパターンが明かに異なり、分生子形態も異なるものが含まれていることも明らかになった。 (3)Curvularia属菌に酷示するEmbellisia属菌の3種を取り挙げ、チューブリン遺伝子のDNA一次構造を比較したところ、ニンニクの病原菌であるE.alliiと土壌棲息性E.chlamydosporaとの同一性が示唆される結果が得られた。 (4)Bipolaris maydisのメラニン合成系遺伝子の一つBrnlの塩基配列が決定できた。この塩基配列は、イネいもち病菌のそれとは異なっていた。
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